竹炭焼き


炭の効用に注目されてから久しい。
炭1g当たり、炭の細孔の表面積は200〜400mもあるという。

この多孔性による、保水効果、有用微生物にすみかを提供、肥料の保持、ミネラルの供給、
通気性を高める、遮光、地温上昇、などによって、作物にとっては、快適環境コントロール資材である。

また
炭焼きの過程に得られる木酢(竹酢)液は、木が燃焼するときに含まれる色々な化合物が
200種類以上も含まれている。

そして、
分子集団がきわめて小さく生物組織に浸透する能力が高いので、
この効果によって、土壌に散布すると有用な菌の増殖を助け、植物の成長を助ける。
また葉面に散布すると、病虫害の防除ができるという。
また、お風呂に入れると、乾燥肌やアトピー、肌荒れに効果があるばかりでなく、独特の香りで、
まるで森林浴をしているようなアロマテラピー効果が得られる。

幸い我家の近くには竹がたくさんある。インターネットで炭焼きのサイトもたくさんある。

下記はドラム缶で竹炭焼き行った記録である。

2004年記、2022年11月追記



    1. 竹炭焼き準備       写真はクリックで拡大       2004年1月記    


今年の半農計画の一つが竹炭焼きである。

先生は、農文協発行の
竹炭−竹酢液の作り方と使い方』(写真左)とホームページ
杜の哲人『たけのこ』である。

先生によれば、竹は伐採後1.5ケ月の乾燥が必要とのこと。第一ステップは竹の伐採である。

写真右は、家の後の伐採予定の
竹やぶである。

    2. 竹の伐採                             2004年1月記

写真1

このところ天気予報は、連日雪だるまのマークが続いている。
最高気温が氷点下の日もある。

1月22日、天候がよいのを狙って竹の伐採を行った。
写真1は、伐採の状況である。
写真2は、枝を払ったところ。


竹の選定(竹炭の先生による)

竹の種類は肉厚の孟宗竹がよい。
竹の生長は5年で止まる。
それまでの竹は、成長期で、みずみずしく含水率が高い。
含水率が低いほど変形が少なく割れにくい。
したがって、4年生以上の竹が良い。

見分け方

若い竹:写真4のように節が白い。
4年生以上の竹:写真3のように節が黒ずみはじめている。
老いた竹:竹表面全体がアメ色を帯びてくる


直径10cm前後の竹。
11月から3月の冬の間に切った木が良い。
春以降に切った竹は含水量が多いので
保管中に虫がついて腐りやすい。

写真2
写真3
写真4
  3.竹の裁断と乾燥                           平成2004年2月記

写真1

このところ毎日、朝は霜が降りて寒い日が続いている。
天気の良い日に、竹の裁断と竹割りをしている。
『竹を割ったような気質』という言葉があるが、
竹割りをしていると、本当にスカッーとした気持ちになる。


写真1は、伐採した竹を長さ40cmに裁断したところ。
40cmは、ドラムカン(長さ約90cm)に二列に入れる事から決まる。

写真2は、裁断時に使ったチエンソー

リョービ製、2サイクルガソリンエンジン式、33cc。
チエンソーの取り扱いには、安全上細心の注意が必要である。

写真3は、竹を割り節をとったところ。
竹の太さにより、2〜8分割する。(幅2〜4cm)


写真4は、分割した竹を乾燥中。
竹の含水率を35%程度とするため、屋内で1.5ケ月程度の
乾燥が必要である

乾燥が不十分だと炭化しにくく、燃料が大量に必要で、
乾かしすぎると炭化が速すぎて炭の質が落ちるとの事である。

(含水率15〜20%が良く、6ケ月乾燥が必要との資料もある)

写真2
写真3
写真4

   4.窯(ドラムカン製)の準備                      2004年3月記

写真1

いよいよ窯の製作となった。
本やホームページを見て、加工図面を作り鉄工所で加工してもらった。

写真1(窯本体)
200リッターのドラムカンである。ガソリンスタンドで分けてもらった。
カンの板厚が、薄いのと厚いのがあるという。
繰り返し使うためには厚いのが良い。(写真は1mmで厚手である)
左側面に80×200mmの角穴(焚口用)を加工
穴部に写真3焚口の引っ掛部を加工する。
右側面下部に110mmの丸穴(煙突取付)を加工
上部に300×450mmの角穴(竹材入れ口)を加工
下部の右端に20mmの丸穴(水抜き)を加工

写真2(窯のふた)
写真1の上部の穴を切り抜いたものの周囲につばをつけたもの。
取っ手もつけた。

写真3(焚き口)
一斗カンである。ガソリンスタンドでもらった。
片側の端部を切り落とし、側面に80×210mmの角穴を加工。
写真1の左の穴、引っ掛部に引っ掛けて取付けする。

写真4(煙突)
ステンレス製のエントツである。ホームセンターで入手。
写真下が直径106mmの曲がり部と長さ1mの直線部。
写真中が直径120mm、長さ1mの直線部。
写真上が直径120mm、長さ1.5mの直線部。

写真2
写真3
写真4

   5.窯の設置                                   2004年3月記

3月9日、10日に窯を設置した。

写真1

写真1
傾斜がついている畑に窯を設置する穴を掘る。

写真2
ドラムカンに煙突の曲がり部を取り付け。

写真3
掘った穴にドラムカンを設置。煙突も取り付け。
水抜きのため、煙突側を3cm程度下げる。
水抜き穴の下は、水抜き用に小石を
入れておく。

写真4
焚き口用一斗カンを取り付け。

写真5
一斗カンの下部にブロックをしく。
(竹材挿入口にはふたがしてある)

写真6
一斗カンの下部にブロックで焚き口を作る。

写真7
焚き口側をブロックで囲って、土をかぶせる。

写真8
竹材挿入口の回りを残して、土で埋める。

写真5
写真2
写真6
写真3
写真7
写真4
写真8

   6.窯入れ・火入れ                               2004年3月記

3月21日に材料(竹)の窯入れ、23日に火入れをした。

写真1

写真1
ドラムカンいっぱいに材料(竹)を
上部開口部からぎっしり詰め込む。

写真2
材料(竹)詰め込み状態。

写真3
開口部にフタをする。

写真4
ドラムカン上部に約15cm土を盛る。
左のブロック部が焚き口、右が煙突部。

写真5
煙突部の温度計と竹酢液採集装置。
(温度計は100℃と500℃を用意)

写真6
左は口焚き用の乾燥した焚き付け。

写真7
23日午前7時から火入れ(窯焚き)を開始。

写真8
8時半には順調に自然(炭化の始まり)
に入り、竹酢液の採集を開始する。
その後、窯止め(炭化の終了)
までに異常に時間がかかった。


写真5
写真2
写真6
写真3
写真7
写真4
写真8

   7.窯出し                                    2004年4月記

3月23日7:00時に火入れし、窯止めができたのは24:00時だった。
24日の朝は、まだ窯の表面が暖かかったので、25日に窯出しをした。


写真1

写真1
焚き口を土で覆い、煙突をアルミシートで
密閉した窯止め状態。(24日朝の写真)

写真2
材料投入口付近を掘り返す。(25日)

写真3
材料投入口のフタを外して、内部を観察。
左上の焚き口側は、約50%が灰に。
煙突側は、5%程灰になっている。

写真4
上の写真が焚き口側の炭で4kg。
下の写真が煙突側の炭で9kg。
(うまくいけば16kgほど取れるとのこと)


写真5
上3本が煙突側の太い材料のもの。
(長さ40cmの材料が約18%縮んでいる)
(重量90gの材料が約70%軽くなっている)
次の3本が焚き口側の太い材料のもの。
(約40%灰になって焼失している)
その下は、細い材料のもの。
(細いものでも案外残っていた)


写真6
3.4Lの竹酢液が採集できた。
もっと有効に採集すれば7L程度
採集できるとのこと。

写真4
写真2
写真5
写真3
写真6

 火入れから1.5時間後
温度が73〜75℃で一定になり自然(炭化の始まり)に入る。

20分後、口焚きをやめて、焚き口面積を60cmに絞る。
煙突出口面積を16cmに絞り
竹酢液の採取を始める。
窯止めまでに長時間かかったのは、煙突の絞り過ぎが原因と思われる)

火入れから14時間後
145℃で竹酢液の採集をやめる。(150℃以下の竹酢液が良いといわれている)

火入れから16.5時間後

煙が青色になってくる(炭化の完了)。

火入れから17時間後

煙突の出口付近の煙が透き通った感じになり、煙が少なくなる。
焚き口と煙突をいっぱい広げて、煙突の内部に白い粉が付いたようになる。
焚き口と煙突を完全に密閉する。



  8.竹炭の利用                                  2004年5月記

炭は世界に誇れる日本の『文化』という。
竹炭は、木炭と同様に燃料としてだけでなく、生活面への効用について、
次のような、さまざまな用途が報告されている。

炭に潜む6つの効果
分 類 効      果
調湿効果 炭には、数ミクロンから数百ミクロンの小さな孔が無数にあいている。
この孔によって、1gの炭で、約300mの表面積になるという。
このため、水や空気が通りやすく、さらに通った時には広い表面積で色々なものを吸着してくれる。
浄化効果 無数の孔が、水の中の不純物を吸着する。
しかも、ただ吸い取るだけでなく、炭につく有用微生物が、吸着した不純物を分解し浄化してくれる。
脱臭効果 無数の孔が、空気中の『汚れ』の成分や『有害な不純物』を吸い取る。
ミネラル効果 木や竹は土からミネラルなど必要な栄養分を吸い上げながら大きくなる。
このミネラルが、化学成分となって残っている。炭化することによって、水に溶けやすいミネラル(炭酸塩や酸化物)になっている。
遠赤効果 炭は暖まると、遠赤外線を発生する。遠赤外線とは目に見えない暖かい光線で、当たったところは気温・風・空気の状態にかかわらず暖かくなる。
その暖かさは穏やかで、身体の深いところまで効き、血行や代謝を促進する。
マイナス
イオン効果
炭にはマイナスイオンを増加して副交感神経にはたらきかけ、心身をリラックスさせる鎮静効果があるといわれている。
また、炭を使うとマイナスイオンの働きで、ものが傷むのを遅らせてくれる(酸化の防止)効果があるという説もある。(現在研究中)

炭の利用方法
分  類 用    途 使用方法
グルメに
ミネラルウォーターを作る。
浄化効果により、塩素、カルキ、トリハロメタンを吸着して浄化する。
脱臭効果により、カルキ臭を取り除く。
ミネラル効果により、水にミネラル分が溶け込む

マイナスイオン効果により、マイナスイオンを含んだまろやかな水になる。
1.『下ごしらえ』した炭を、水1リットルに対し100g(幅3cm、長さ10cm程度)入れる。
2.一晩置いておけば出来上がり。
2〜3週間で交換。
3.使い終わったものは消臭剤として使ったり庭にまいたりしてリサイクル。
美味しいご飯をたこう。
遠赤効果でご飯が美味しくふっくら炊ける。
浄化効果、脱臭効果、ミネラル効果、マイナスイオン効果でご飯が美味しくなる。

1.ご飯を炊くとき、炊飯器に『下ごしらえ』した炭を、1合あたり1片程度いれる。
2.炊き上がった後もご飯がなくなるまで炭を炊飯器に入れておくと、保温時の臭みもなく、冷えてもおいしく食べられる。
3.使用後は流水で洗い(洗剤は厳禁)乾燥させると4ケ月もつ。
4.炭の表面に色がついたり、折れるようになったら交換する。
煮物を作るとき炭を入れると、煮くずれを防ぎ新鮮さを損なわない。       
天ぷらや揚げ物に炭を使うと、遠赤効果でカラッと揚がり、不純物を吸着し油も長持ちする。 1.あらかじめ炭1片(5〜10cm程度)を加熱していない油に入れる。
2.鍋を火にかけて普通に料理する。
必ず乾燥させた炭を入れること)
下ごしらえ
1.炭をたわしなどで流水にさらしながらよく洗う。(けっして洗剤などは使わない事)
2.鍋などに水と一緒に入れて火にかける。沸騰したら弱火で10分加熱。
3.ザルなどに取り出して冷やす。この状態で使用する。
4.週に1度は水洗いしてから、天日乾燥させると長持ちする。
リラックスに
お風呂が温泉になる。
竹炭自体がアルカリ性なので、お湯をアルカリ性に変え、アルカリ温泉と同じ効果があり、リウマチ、五十肩、冷え性を緩和する。
浄化効果によって塩素や菌、湯あかなどを吸着、浄化して水がきれいになる。
お湯が長持ちし、湯あかがつきにくく、浴槽が汚れにくくなる。
脱臭効果によってカルキ臭が取り除かれ、鼻にツンとくる感じがなくなる。
ミネラル効果によって、温泉のようにミネラル分が溶け込みお肌がツルツルになる。
マイナスイオン効果によって、やわらかい水になり、ピリピリした感じがなくなる。
遠赤効果によって温泉のように、身体の芯まで温まり、血行が良くなり疲労が回復し、湯冷めもしにくくなる。
1.入浴の約2〜3時間前までに、炭300〜500g程度を網などに入れて、浴槽に入れる。
2.お風呂を沸かす。
沸かしかえす場合は、炭はそのまま入れておいてもOK。
3.給湯式のお風呂では、お湯の注ぎ口に近いところに下げ、入浴前に少し時間をおく。
4.7〜10日に1回は水洗いし、天日乾燥させる。
半年から1年ほど使える。
5.使用済の炭は、消臭剤、庭の土壌改良剤として再利用する。
炭の入った枕や布団でぐっすり眠ろう。
調湿効果によって、眠っている間の汗を吸い取ってくれ、快適に眠れる。
脱臭効果によって、汗が酸化して起こる、なんとなくいやな布団の臭いを吸い取ってくれる。
遠赤効果によって、体温で温まった炭は、遠赤外線を発生し、寝ているだけで、温泉に入っているのと同じ効果が得られ、冷えにくい。
マイナスイオン効果によって、副交感神経にはたらきかけ、気分を穏やかにする鎮静作用がある。このため、森林浴をしているような爽やかさで眠れ、目覚めもスッキリする。
炭の入った枕や布団が販売されている。
マイホームに
夏、ジメジメした湿気をとって涼しい。
冬、暖房や湯気などから発生する結露を防ぐ。保温効果も高いので暖かい。
床下の湿度を下げるので、白アリ、ダニ、ゴキブリなどの害虫が発生しにくくなる。薬剤と異なり無害。
家の土台や床板も結露しにくくなり腐食が防げ、家屋の耐久性がアップする。
脱臭効果でホルムアルデヒドや壁紙などの塩化ビニール製品にふくまれている有害化学物質を吸着、浄化してくれる。
有害細菌を駆除し、家の中の空気が爽やかになる。
マイナスイオンの鎮静効果で、リラックスできる家になる。
埋炭(まいたん)
1坪当たり40〜60kg程度の炭を、床下に埋める。
大手工務店などで希望により実施している。

置炭(おきたん)
埋炭とするのは大変である。かわりに部屋に炭を置いて、同じ効果を得る。
6畳に約10kgの炭を、藤のかごなど、通気性の良い入れ物に入れて置く。
できれば部屋の4隅、最低でも対角線に2隅に置く。
ときどき風通しの良い場所に出して、天日干しする。
エコロジーに
水質汚染の浄化。
生活排水、農薬、工業用水、廃棄物などによって汚損された水質は、これまでは多くの塩素を使用するなど科学的な方法で浄化されていた。
炭の使用で、自然にやさしい方法で水質改善できる。
(炭で水をろ過し汚れを吸い取り、炭に活着する自然の微生物のはたらきで汚れを浄化する)
家の水槽や花瓶の水も、生き返らす事ができる。
炭をろ過材とする。
土壌の改良。
農地は肥料や農薬によって化学物質づけになっている。こうした汚染も炭で分解・浄化される。
( 無数の孔によって、土の中に空気や水が通りやすくなる。微生物の活性が高まり、環境を汚さない天然の肥料となる)
炭を砕いて田、畑、花壇にまく。
炭で洗濯。
界面活性剤の入った洗剤は、家庭排水汚染の大きな原因である。
炭で洗濯すると、炭のミネラル分や遠赤外線が、水分子の固まりを小さくして、汚れとくっつきやすくする。
塩を加えてミネラル分を補えば、汚れもしっかり落ち、何度でも使える。
1.炭を流水でよく洗う。(洗剤は絶対使わない)
2.小さくきった食品トレーなどで炭をくるみ、いらなくなった靴下やハンカチに入れて、ゴムでしばる。
3.水に入れて浮くかどうかを確認する。浮かない場合はトレーを増やす。
4.塩を小さじ一杯加えて、普通に洗う。
(汚れが目立つ部分は洗う前に軽く石鹸でこすっておく。洗濯物に臭いが残るときは、炭の量を増やす。白さが足りないときは塩を多めとする。
洗濯が終わったら洗濯物と一緒に炭も天日干しする)
化学物質を使わない脱臭。
市販の脱臭剤には、がん、アレルギー、視力障害、呼吸器障害などを起こすと言われているホルムアルデヒドが使われているものもある。

天然の炭を使うと健康的に消臭できる。
1〜2週間に1回は取り出して、天日乾燥させれば、半永久的に使用できる。
トイレに2〜3片ほどを網やかごなどに入れ、隅においておく。
その他 冷蔵庫や野菜入れに入れると、マイナスイオン効果による酸化と、エチレンガスを吸収し野菜などの鮮度が長持ちする。 約100gを通気性の良い布か網袋に入れ、棚の隅に入れて置く。
内部の湿度が調整され、空気が浄化されるのでカビ防止になる。 特に通気の悪い部屋や、寝たきりの方がいる部屋の場合は、置炭をする。
下駄箱、たんす、押入れ、車などに約100gを通気性の良い布か網袋に入れ、置く。

炭の農業への利用と効果

作物にとって、炭は快適な環境を提供する資材である。
木酢液、竹酢液やミネラルのように直接作用するわけではないが、
作物にとっての快適な場づくりに役立ち、ジワジワとゆるやかに効いてくる。
分  類 効        果
保水効果 炭はたくさんの細孔に水分を蓄えるので、作物を植えた地表面に敷くと、土の保水力がアップする。水やりの手間を減らしたり、干ばつに強くなる。
遮光、地温上昇 作物を植えた地表面に敷くと、光を遮ることで雑草を抑えるほか、太陽光を吸収して遠赤外線を出して、地温が上昇する。
有用微生物に
すみかを提供
作物を植えた土中に入れると、炭の細孔から有機物を分解する微生物や、不溶性のリンを溶かし出して作物の根に供給してくれる。
肥料の保持
ミネラルの供給
作物を植えた土中に入れると、炭の細孔に過剰な肥料を保持して流亡を防ぎ、利用率を高める。
炭に含まれるミネラルも供給する。
通気性を高める 作物を植えた土中に入れると、炭の細孔に含まれる空気(酸素)を作物に与え、根の酸欠を防ぐ。

炭の農業への使い方
分類 使用方法と効果
土壌改良 炭は『土壌改良資材』に認定されている。(1986年政令354号『地力増進法)』
製炭直後の新しいものより、1年くらい雨ざらしにしておいた方が早く効く。(土壌に炭を粉状に砕いて入れる)
堆肥化期間の短縮 敷きわら、木の葉、生ごみ、糞尿などの有機物に粉砕した炭を混ぜて積んでおくと発酵が速まる。アンモニアガスを吸収するので悪臭も防げる。(有機物に対し炭を1/(1〜2)程度混ぜる)
連作障害の回避 同じ品種の作物を連作した場合、鉄やマンガンが不足し、連作障害が起こる。
土壌に粉炭を混ぜる事により連作障害を予防できる。
増収・品質改良 農薬や化学肥料の多用で地力の衰えた土壌を回復させるのに、粉炭を混ぜる事が有用であり、作物の風味、糖度、収量を改善できる。
(野菜類に施用する場合、10m当たり4kgが目安とされる)
稲作の冷害回避 1m当たり200gの粉炭を散布(耕起前)した水田では、表面温度が約7度高くなるという。地温の上昇によって日照不足からの冷害を防止する。
良質の園芸用土づくり 用土に炭を入れることによって、作物が丈夫になり、病害虫に対する抵抗力が強くなる。(容積比で用土の10〜15%の粉炭を混ぜる。使い古した炭で良い)
酸性雨害の防止 炭はアルカリ性なので、これを土の中に入れてやると、pH値の中和作用や土壌改良効果によって、酸性雨対策にきわめて有効である。

   9.竹酢液の利用                               2004年9月記

竹酢液は木酢液と同じように、炭焼き工程で採取される貴重な天然資源である。

竹炭を焼くときに出る煙から採集される竹酢液は、酢酸(約3%)を主成分に、
二百数十種類のさまざまな有効成分を含んでいるという。

竹酢液は、
土壌改良、作物の生長促進、殺虫防除、消臭、畜産飼料、食品加工、医薬、化粧品、
健康飲料、昆虫や小動物の忌避用などに広く利用されている。
人畜には無害である。

竹酢液の農業への活用について紹介する。

(本記事は、農文協発行『竹炭・竹酢液のつくり方と使い方』から引用させていただいた)

竹酢液の農業への利用
分類 使用方法と効果
土壌改良 50倍くらいに薄めて土壌に散布すると、作物の発根を促進し、センチュウや土壌病害虫の発生を防ぐ。また、土壌の中の有効微生物を増殖させる作用もある。
堆肥づくり 堆肥に50〜300倍くらいに薄めた竹酢液を混ぜると、竹酢液の成分が微生物のエサとなり、微生物の増殖を活発にし、発酵が促進される。
悪臭を中和・分解する作用もある。
生長促進 適度の濃度に薄めた竹酢液は、作物の発芽と生長を促進させる一種のホルモンのような作用がある。
育苗、幼苗期は、1000倍以上の薄めを。
苗が活着した状態では、500倍以上。
減農薬 竹酢液に農薬を溶かして使用すると農薬の薬効成分が良く溶けて、作物組織の内部までよく浸透するので、農薬の使用量を半減または1/3に減量できる。
通常、竹酢液に農薬を溶かすばあい、1000倍以上に薄めたものを使用する。
無農薬 竹酢液に含まれている酢酸などの有機酸類には独自の殺菌・抗菌作用があり、土壌消毒や害虫駆除のほか、灰色カビ病、立枯病、紋羽病、ベト病などの駆除にも効果がある。しかも人体には無害であり、公害を出さない。
防除への使用は、20〜200倍程度に薄めたものを、数回、土壌にまくか、葉面に散布する。
虫獣忌避 竹酢液には独特のこげくさい刺激臭がある。この燻臭が虫類や小動物に火を連想させ、本能的に避けようとする習性があるという。
竹酢液のニオイは、100万倍に薄めても有効という。
水田の周りに散布する事で、猪などの
小動物対策となるかもしれない。
畜産での
活用
養豚場や養鶏場から発生する糞尿の消臭や、畜産飼料への投与は、すでに実用化され、大きな効果を上げている。
生活面での
活用
市販の化粧クリームやハンドクリームとの併用で、スキンケア効果があるほか、高齢者に多い乾燥性皮膚炎やアトピー性皮膚炎の薬として有効という。
昔から『炭焼きさんは水虫しらず』といわれているように、水虫にも有効。
また、健康飲料としてもその効果が公表されているという。
竹酢液は医薬品でないので、副作用がないので安心して使用できるが、
適用にあたっては、専門書を参考にしていただきたい。