特集 No.8 義母の短歌 (141-160) (2005年2月3日発行) |
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| 新世紀に 向けて建てたる モダンな墓 彼岸の陽射し 浴びて明るし 逢いみての 後の便りに 温みあり ときめき新たに また読みかえす みずからに 充ちて落ちしか 瑞みずと 枝下範囲に 輪を描く椿 花散りて 結ぶ小梅の あまりにも 青く危うき 命のふふみ 無住寺の 仁王売られて 幾とせか 厳つき門に 舞う花吹雪 争いの 絶えぬ地球を 見下ろして 手の打ちようも ないお月さん 鯉幟りも 祝ってやれず 生い立ちし 息子の息子に 良き嫁決まる 八十年 生きしが人生 ばら色と 媼言いけり 頼もしきかな エアメール フランスへこれで 届くかと 郵便局にて 念押しいたり 媼われが フランスへ電話 かけるなど 丹波山家に 文明の風 またひとり 孫が印度へ 渡るという 生水飲むな 弾にあたるな 竜の髭 刈ればとびだす 青い実が 同じ青さの 空をみている 騙すなど ゆめ思わねど わがともす 点滅灯に 蛍群よる 猿のボス 交通安全 確かめて 群渡すとぞ 聞きて畏るる 傍らに 草引く媼を 恃みとし 枯枝の山 燃やし終えたり 「鹿が獲れた 焼肉するから 食べに来よ」 お茶にでも 誘うように男等 遠き日の 夢が残って いるようで ラムネの空瓶 捨てる気がせぬ 助手席に 買い物袋 座らせて 残生温しと 言わねばなるまい 青白き 山蒟蒻の 花の寂び 惹かれてやまぬ われも山姥 人ならば 如何なる策もて 抗議せん 巣を暴かれし 蟻のふためき |